毎日使っている電気が一体どうやってつくられているのか、よく知らないでエネルギーの話をしています。そこでこのたび水力発電所を見学してきました。
水力発電はダムで堰き止めた水が落ちる力を利用して電気を起こすという簡単な原理です。とわかっているものの、発電所の中枢がどんな構造なのかを見るのは初めてです。
ダムというと人造湖の端からドドッと勢いよく水が流れ落ちる光景を想像していましたが、今回私たちが行った奥只見のダムは完璧にコンクリートで、壁面に水は一滴も流れていないものでした。
「放流するとういことは、それだけ水の力を無駄にすることですからね。」
言われてみればその通り。壁の外で巨大な管に水を集め、そこから一気に落として発電機に流れ込むという構造です。頑丈な水車がこの勢いで回り続け発電、送電線を経て家庭に到達してくるわけです。
このダムは昭和30年代中ごろの建設で、日本の高度成長に伴って急増する電力需要に対応するために総力を結集してつくられたものです。1年の半分以上雪に覆われるという気候のため、通常ならば厳冬期は工事を休止するところを作業続行し、過酷な条件のなかで完成に至ったというもの。殉死者も100人以上ですが、当時はともかく早く電力供給することが至上命令です。「今だったらそんなことやったら工事中止でしょうね。」と発電所の館長さん。プロジェクトXは日本のいたるところで繰り広げられていたのですね。
ところで、民主党政権の公約で建設中止があがっている八ツ場ダム。ここは父の実家のそばなので、これまでの経緯を時折聞いてきた場所です。かなり長い間ダム建設の計画があるだの進まないのだの、伺っていたところだけにどうなるのか関心もっております。2年前に訪れた時には、実家のすぐそばに立派な道路と橋が突然できていました。それほど車も通らないのだし、こんなすごい道いらないだろうに・・・とボソッと思ったものです。
ダム建設の計画がつくられてからもう何十年も経っているのです。その当時とくらべてダムが有用かどうかが議論されるのでなく、地元への補償といった経済的、政治的理由だけが建設の可否の論点になっている。これまでの公共工事型経済からの変革には、相当の痛みが伴います。