夏になると八ヶ岳の滞在が増え今では第二の住処ですが、それは涼しいからだけではありません。そこでの生活が「居心地いい」からなんですね。
別荘として滞在したり定年退職後に移住する方も多い土地で、楽しい施設や飲食店が豊富でそれなりに快適な場所です。私も家を建てて10年以上そうした外来訪問者でいましたが、3年ほど前からもっと地元と交流したいと思ってきっかけを探して入っていってます。自分からアクティブにならないと、接点がないので。
といっても、昔からの土地の方たちと親しくなるのは難しい。きっかけづくりは、ホームページをつくって自分の活動を公表している方からで、こういう人は大抵都会からの移住者です。
もともと自然好きやのんびりした生活を求めてきた人たちなので、畑仕事にも積極的。営農するまでいかなくても、家庭菜園くらいは皆さん普通にやっています。やることはいろいろでも、移住者に共通するのは、八ヶ岳という土地が持つ良さを感じ保全していきたいという思いと、各自が大事にする考えとか価値観があって、かつあまり邪魔しあわないことです。
私は畑に関心あるけれど自分で耕すには時間もスキルも足りないので、気の合う農場を見つけそこに手伝いに行くことにしてます。これがすごくおもしろい。
まず出どころのはっきりした安全で新鮮な野菜をいただけるということ。農薬を使わない有機栽培は当然で、意識進んだ方は自然栽培にいってます。これは、耕さない、肥料を入れない農法。映画「奇跡のリンゴ」で話題になってますね。
でも本当の意味は、自分で食べるものを作れるのは最大の自立だということなんです。単純に、食費が圧縮できるのですから。
また農作業は一人ではできないので助け合う気持ちが生まれ、集まってくる人たちとの交流が自然とできてくる。日々の生活に必要なこともこの延長で、ヒトとヒトが持ち出し合って自分でできない作業を頼みあう「共同体」ができる。だからおカネに依存しなくても、ごく普通に暮らせるのです。都会暮らしって、何でもサービス料を払って頼まないとダメでしょう。これってすごく豊かなことですよ。自分がその中に入ってみると、よくわかる。
皆さんが農業や農家にもつイメージは、あくせく汗流してつらい作業ばかりなのに都会の会社勤めより所得が少なくて生活がやっと・・ではないですか?でもあくせくして追い立てられているのは、都会の会社員の方なんですよ。
そして自然のもつ美しさ。この句をよんで、「何だかいいなぁ~」と想像した方には説明不要でしょう。
雲間よりこぼれる夏日山に映え
豊かな暮らしはどっちでしょう。