今回の東京オリンピックの誘致成功でまず目立ったのが、プレゼンの良さ。前回の失敗を繰り返してはならない、と全員がプレゼンに相当な磨きをかけて臨んでいましたね。
この人はここの特徴を・・、と役割分担も明確にしてそれぞれの強みや面白さを明確に表現する戦法を徹底的に追及した、というところでしょうか。国際舞台では、内容だけじゃない、表現も重要でともかく明るく・・、とどの方も満面の笑顔で。どうも不自然で引きつっている人もいるけれど、そんなこと言ってられん、と何度も練習しているうちに、だんだん板についてくるのでしょう。
自分たちのやっていることを効果的に伝えることがいかに大事か、ということは私もいつも言っています。CSRの分野では、「社会を考えて行動することは当たり前のことで、あらためて公言することではない。そんなことを自慢気に話すのは恥ずべきこと。」といった風潮がまだある。でもやっていても説明してもらわなければ、外部にはわからないのです。日本人が日本のなかでやっているならまだ分かり合えても、海外では自らで表現することが基本ですから。
今回のプレゼンの良かったことが繰り返し報道されているようですが、企業の広報やIR、そしてステークホルダーとのコミュニケーションにもそのメッセージが伝わってほしいですね。いいものを作っている、お客様へのサポートを万全にやっている、といった行為だけでカイシャそのものは何やっているか伝わらないのですから。自分の価値を分かってもらうためには、こちらから積極的に伝えていくことが大事・・・それがオリンピックの成功プレゼンでよくわかりましたね。
もう一つの成功要因がロビイング。日本的に言えば根回しです。国際舞台でも、やっぱり根回しなんですよ。根回しというと、なんだがネガティブな響きですが、キーパーソンの賛同を得ないと先に進まないのはどこでも同じ。
概して日本人は国際会議の場では、日本人同士が固まってあまり外国人と交流しない。英語がニガテで・・・と、レセプションになると知った仲で日本語トークにほっとする。でも、こうした場は世界各国から集まってくる人たちに、一度にお会いできるいいチャンスなんです。こんなラッキーな機会をなぜ使わないか・・ということになる。
今回の誘致では、英語いやだな・・とか、ボクはシャイだから・・とかいう日本人ならではの言い訳は一切捨てさせられたのでしょう。ハイレベルの人たちだけでなく、誘致に関わるあらゆる人たちがお友達感覚で交流することが、ロビイングだったりする。これもオリンピックだけでなく、日ごろのビジネスや生活のなかでも重要なことです。