昼間は暑くてだらだらしてしまうので、映画でも観ることにしました。私が観るものは社会モノが多く、今回もそのようなジャンルを探してみると「闇の子供たち」が目につき、軽い気持ちで映画館に。平日でしたが夏休みということもあって、小さめの映画館はほぼ満席でした。
これはタイで起こっている幼児の人身売買と売春、さらに臓器移植のための密売の実態を描いたものです。こんなことが本当に起こっているのだろうか、と観ているのが非常につらくなってしまうショッキングな内容です。児童の年齢までもいかない年齢のかわいい幼児たちが大人の都合で命を粗雑に扱われ、使いものにならなければゴミとして捨てられていくのです。とてもひどくて、ここで詳しく書けません。
このような社会問題を何とかするために、NGOや市民のボランティアの力が助けになるはずです。しかしこの映画では、NGOのやっていることは自己満足でしかなく、ボランティアも権力や体制のなかでは無力で無意味・・・というメッセージ。欧米の監督だったら、もう少し市民の力で変えられるという終わり方になるのでは、というところが残念でした。
ここまででなくても、子供の物乞いは途上国の都市ではどこでも見かけます。以前インドに行った時も、ちょっと街を歩くだけでひとりや二人の子供がついてくる。子供たちが自分の意志でやっているのではなく、大人が後ろで控えていてやらせているのです。経済が急速に成長して豊かになる一方で、人間が人間らしく生きられない社会の底辺の問題は解決していない。
桑田佳祐の主題歌をYouTubeで聴きながら書いていると、人類の幸福って一体何なのだろうと問い直してしまいます。