ニューヨーク証券取引所に中国のアリババが上場しました。初日の終値は93.89ドルと過去最大規模の資金調達額です。
私が初めてアリババを知ったのは、2000年ころでもう14年も前。孫さんが出資する前だったから、1999年だったかもしれない。
何気なくつけたCNNテレビで、創業者ジャック・マーのインタビューを見たのです。彼の特徴的な顔だちと流暢な英語に「おや」と引きつけられた、そんな印象です。
アメリカ人の質問にするすると淀みなく話すので、裕福な中国家庭に育ってアメリカ留学でもしたのだろうと思って聞いていると、以前は英語の教師で近くの観光地に来る外人客をつかまえて英語で観光案内をして自力で習得したというのです。それも上海などの都市でなく、ナントカという地方都市で。たたき上げのハングリー精神がここまで成功をもたらした、まさに”American Dream by Chinese”ですね。
彼はその時から、「お金が欲しいのではない。チャレンジしていくことで、夢を実現でき世の中を変えていくことができる、ということを示したい。」といっていました。心からそう思っている、ということが自分の口から自然に出て伝わってくるのです。この若者、どこか違うゾ、と思わせるものが。
やっぱり彼は逸材ですね。ここまで登りつめても、当初の考え方を捨てていません。上場の1週間前、FTに”Letter to investors”が掲載されていました。19日の上場に向けてニューヨークを皮切りにアメリカ各都市で説明会を行い、リリースを出したのです。このやり方がすごくうまい。またLetterも創業時と変わらない想いを含みながら、アメリカ流に主張するいい文章。
このなかには、同社のガバナンスに対する方針も盛り込まれています。香港上場の際にはここが問題になり却下された経緯があるので、そこは避けずに逆に我々の考え方を明確に。このようにオープンな姿勢が、投資家を「それはそれで、やらせてみようじゃないか」という気にさせるのでしょう。
もうひとつ今回の上場で目についたことが、役員幹部に女性が多いこと。取引所のベルを鳴らす写真を見ると、8人中5人が女性なんですよ。皆若い!勢いがあっていいよな~。
中国はこのようなIT寵児が育つ環境をつくったということですが、翻って日本はベンチャーを異端扱いして潰してしまった。ライブドアのホリエモンはその餌食になったと思いますね。日本の方がよっぽど保守的で閉鎖的だということか。
さて、ジャック・マーを褒めるばかりでしたが、経営はまだまだこれから。中国経済の拡大とともにこの会社が彼らの戦略とおりに伸びるのか、これからも見守っていきたいです。