先日NHKスペシャルで「女と男」という3回シリーズの番組をやっていました。ご覧になった方も多いでしょう。3回ともとてもおもしろかったです。
1回目は女と男が何故惹かれあうのか、またすれ違うのか、がテーマでした。何か問題があると、男はそれを分析的に見ようとしどこに問題があってどうやったら解決できるかまで考えようとする。一方女は、今沸き起こってくる不満や不安、悲しさ、悔しさ・・・といった感情や感覚を知ってほしい、共有してほしいと思う。「何故?」なんてことはどうでもよくて、「とにかく今、こんなにつらいのよ!」ということが伝わり、わかってもらうだけでほぼ解決なんですね。
とても納得です。喫茶店などで、女性同士の会話を聞いてみるとそれ、よくわかりますよ。まったく脈絡もない会話を延々と続けているでしょ〜。要するに、女は「おしゃべり」。いやなことがあっても、友達に話しているうちにそれだけで解消するってことも多いんですもの。そういう時は、あんまり真剣に対応しなくていいかもね。聞いてあげればいいんですよ、奥さんやカノジョの愚痴を。
2回目は女と男の性差について。私がとてもおもしろいと思ったところは、女性と男性で仕事での意思決定のプロセスが違うことをビジネスのシーンで活かしているというくだりです。
アメリカのあるコンサルティング会社では、クライアントの担当責任者が女性の場合と男性の場合では、プレゼンや提案のアプローチを変えているということです。男性の場合には、「御社の取るべき戦略はこれ以外にありません」という一点集中型の提案をするのです。もちろんその結論に至るには様々な分析をしており、状況判断をしたあとの提示手法です。そして、プレゼンのする側の人員も少数でトップが出て行います。
これに対して相手が女性の場合は、様々なオプションを提示しそれぞれの可能性や長所/短所をあらゆる角度から分析してみせ、いろいろあるなかから○○の場合であればA案、××であるならB案といった多種選択型を取るのです。プレゼンの際もいくつかの分野の専門担当者を連れて行くので、4〜5人のチームで行います。この違いは、これまでの同社の多くの経験から引き出されたもので、こうした性差によるアプローチの違いは非常に有効に動いているとのこと。日本だと意思決定できる女性管理職が少ないから、ここまで違えてやれないでしょうね。
これを聞いて、私のやり方は女性型思考なんだなと思いました。もともと目の前で起こっていることの対処ならば回答は狭まりますが、長期的でサステナブル志向なのですから、「これしかない」という具体的なソリューションは出しにくいのです。「今のような消費が続いたら・・・」「株主しか見ていなくて、ステークホルダーが踏みにじられていたら・・・」といった複数の仮定が上がってくるので、方策も単純にできないです。
昨今の金融危機も、「これさえやっておけばいい型」の男型の経済に傾きすぎた結果だと思いますね。これからの世界は欧米先進国ばかりを見ていればいいのではなく、多極化した国家秩序のなか不確定な要因に向き合わなければならないのです。これからは女型アプローチが有効ということですね。
最終回は人間の生殖能力について。男をつくるY染色体とそれを運ぶ精子の力が急速に衰えているのです。この先子供がますます出来にくくなるという事実。私の年齢になるともう出産は無理とあきらめておりますが、20代や30代でも子供ができないという友人がたくさんいます。どうしてもできないならば医学的な技術を使おうというケースについては、日本では倫理的にかなり反発があります。そりゃ誰だって自然な生殖能力に委ねられればいいに決まってますが、どうしても子供が欲しかったら技術に頼りたいという考え、私は非難できないです。