ロンドンの大英博物館は、世界中の美術品や建造物の宝庫です。ここに行くだけで、世界の歴史や文化がすべてわかる、そんな一流品ばかりが集まっています。初めて訪れた時はそのコレクションの素晴らしさに圧巻されました。20代の中ごろでした。
でも、これってイギリスの所有物といえるのか?
・・・そんな思いが同時にわきあがってきます。最初はすごいなぁと見て回っていたものの、ギリシャやローマ遺跡の展示あたりから歴史の授業で習った知識を思い出し、それぞれの国の文化財が何でここに誇らしげに飾ってあるのかだんだん疑問に。
極めつけはエジプトのミイラ。文化的な価値があるといっても、ヒトの死体なのです。そんなものまで他国に持ち去られているとは。自分の国にそっとそのまま葬られるべきものではないですか。
こんなことを思い出したのも、中国で略奪された古美術品がフランスでオークションにかけられた、というニュースを見てです。これまで返還を求めていたのにオークションにかけられたため、中国人がこれに参加して落札したということです。ただしこの中国人「お金は払わない」と抗議の姿勢をみせております。
略奪は150年前のアヘン戦争時のことで、中国にしてみれば不本意ながら持ち去られたという思いは当然でしょう。略奪品でも現在ではコレクションとして値がついている商品なので、戻したければお金を支払わなければならないということですが、この理屈どうも納得できないですね。
ただ、外国人が見立てたことで、文化財として保存できている例もあります。タイの伝統文化に興味をもっていたジム・トンプソンはこの国の保存に一躍かった訳で、彼がいなかったら古臭い代物でしかなかったでしょう。また、文革で自国の歴史を徹底的に破壊してしまった中国を見ると、こんな時は誰かが国外撤去しておけばよかっただろうに、とも思います。