日本航空の経営再建問題。ここまでひどくなる前に対策ができなかったのか…誰もがそう思います。
同社をモデルにした小説「沈まぬ太陽」(山崎豊子著)では、腐敗した経営陣のことが書かれています。個人的には、日航に関心をもってというよりもアフリカを舞台にしたビジネス小説を読もうという軽い気持ちで読み始めたのですが・・。
小説なのでフィクションではありますが、全く架空のことを書くわけがありません。入念な取材や記録を精査したうえで、多くの声と事実から経営の実状を組み立てていったはずです。御巣鷹山の墜落事故という惨事は、日航の腐った経営体質での「起こるべくして起こった」事故だと。反省するに十分すぎる教訓だったはずですが、経営陣は入れ替わってもその体質は20年経っても変わらなかったということでしょうか。
問題に思うのは、官民癒着の体質だけでなく大きな社会問題を起こしたことへの対処の仕方です。事故の実状について十分に情報を開示しようとしない、そもそも説明する責任があるという態度が薄い。これは20年前の状況ですから、今現在ではさすがに変わっているかもしれませんが。
事故だけでなく、小説が発表された後の対応もどうも釈然としません。確かに小説にも偏りがあるのでしょうが。
・・・日本航空の労働組合が激しく対立していた経営陣への取材活動を行わなかった点、虚実をない交ぜにし見る者にそれを区別できなくしている点、多数の創作箇所があり一方に偏った視点から白と黒を別けるような書き方が目立つ点などがあるとされ、論争を巻き起こした。・・・(ウィキペディアより)
しかしあの事故をきっかけに本当に腐敗した経営体質が改善されていたら、今日のような悪化した経営にはなりえなかったでしょう。何事もトップだけで決めて隠し通そうとする日航の体質に問題があることは明らかです。
ドラマ、映画化の企画が何度もあがっては取り下げられ・・・でしたが、今秋には映画になるそうです。
オバマのGM、鳩山の日航。大きすぎて潰せない会社を再生する負担は、我々にもかかってきます。