トヨタのリコール問題についてあまりアメリカの状況が報道されないですが、事態はこちらの方が深刻です。米メディアを見ていると、表向き公平な報道を努めているようですが「おぉ、トヨタがやってくれた」とここぞとばかり書き立てているのが感じられます。
今回のアクセルペダル問題は、本当に品質の欠陥から起こっているのだろうか?もっと根底に理由がありそうだし、一般のアメリカ人はどう思っているのだろう?
そう思いながらウォールストリートジャーナル(WSJ)を読んでいると、読者の書き込みコーナーから様子が伝わってきます。
「あなたは今車を買い替えるとしたら、トヨタを選びますか?」
というWSJの質問に数十件が書き込まれ、そのほとんどが”Yes”でした。今回のことだけで品質やサービス体制が信頼できないということではないようです。じゃあ他のアメリカ車の品質がいいとでもいうのか、といった具合です。しかしここはWSJのサイトなので、全米のインテリ層のコメントと注意したほうがいい。
品質への懸念よりも、今回のもっと根本的な動きへの書き込みがあって興味深い。
「今やGMはアメリカ政府の所有会社。アメリカ自動車産業をどう救うかが最大の懸念の政府にとって、トヨタは圧力をかけられている・・・」「今回のリコールには政治的な意図があるに違いない・・・」
あぁやっぱり・・・、というコメントがたくさん出てくる。
そうしているうちに、カナダのメディアが「オバマ政権がアメリカの会社に有利になるように裏でトヨタを標的にしている」といった記事を書くものだから、ここでまた読者論争。アメリカ国民の気持ちを逆なでですからね。ちなみに見出しでGMのことを”Government Motors”なんていっているから、おかしい。
こうなってくると、「アメリカ政府は自動車産業の労働者の立場を擁護するのは当然だから」といった論調が出てきてずいぶんと感情的になっている。とても全部は読んでいられませんが、労働者の立場からの主張をインテリ層は特に嫌っているようで、「こんな議論をWSJではするな」というお怒りモード。ということは、一般紙やゴシップ誌ではトヨタ批判があからさまなのでしょう。
そんなわけでか、
「今回のリコール問題は、トヨタの評判や業績に影響すると思いますか?」
の質問には、大方がYesでした。ボクはトヨタファンだけど、アメリカ全土の風潮はトヨタ批判が止まらないからね、といったところでしょうか。
あまり執拗にリコール追求することは、アメリカの会社にとっても不利と思いますが。「アクセルペダルのあれくらいがリコールなら、○○の故障だってあるじゃないか」という限りないリコールリストができあがるってことですから。
この問題は、スピード違反で捕まった・・みたいなものでしょう。80キロ制限の高速を30キロオーバーして現行犯。確かに違反とはいえ、たかだか110キロじゃないか。130キロ以上で突っ走っている車がゾロゾロいるのに、何で俺にだけしつこいのか・・・。
早く事態が収束してほしいところです。「トヨタが今回のリコール窮地から早々に回復できる理由」なんていう記事も出ているので、この事件をバネに信頼回復に努めてもらいたいです。