日経が「NICES(ナイセス)」という企業評価ランキングを始めたというので、見てみると・・。
「投資家」「消費者・取引先」「従業員」「社会」の4つの分野で評価するということです。様々なステークホルダーへの対応をどれだけ進めているか、というランキング。これって要するにCSR評価じゃないですか。なのに、あえて「CSR」といいたくないらしい。
2004年ごろCSRが語られ始めた時、日経では不祥事対応のコンプライアンスやリスクマネジメントのことをCSRといっていました。私なぞがステークホルダーの視点を強調しても、記事になると法令順守をまず先にもってきてそこに押し込めようとした。そんな日経の報道のせいもあって、日本でのCSR観は欧米とかなり異なっていて、そのギャップを企業さんに理解してもらうのに苦労した。あるいは「ステークホルダーとかいうのは欧米の話で、日本ではともかくコンプライアンスからやっとかないと・・・」と、世の中の主流に沿っておけばいいから・・姿勢ばかり。
その後内部統制が広がりだしコンプライアンス型のCSRはこちらにカテゴライズされて、日経はCSRをどこにもっていったらいいのか・・・、と宙ぶらりんになったのだろう。CSRの記事がだんだん減ってきましたね。一方で様々なステークホルダー対応が必要ということはやおらわかってきたようで、今回の評価に至ったのでしょう。ステークホルダー別の切り口は、CSR報告書で使っているやり方で企業には理解できているので、今更ですね。
また、日経紙でCSRランキングを発表したこともありましたが、これがとっても評判悪くて1回のみでそそくさとやめてしまった。日経BP誌でも同じくCSR評価をやり、でも全く中身が違うというちぐはぐをやっていた。
CSRのように、
1)分野が多岐にわたる
2)定量評価が難しい
3)たとえ定量化できたとしてもその数値が企業や業種間で比較可能なのか、また意味があるのか
という課題があるところでは、総合的な順位づけに意味ないです。「従業員」でよくても「消費者」が低かったりなんてことは当然おこり、それが何でカイシャ一本の総合スコアで表せるんでしょう・・。
それでもCSRを何らかの形で評価しよう、それを公表しようという動きがあるのは必然。年々モデルに改良を重ね、ある程度は納得いくものにしてもらいたいですね。