エジプトのムバラク大統領が辞任。
市民らの反対運動の力によって、30年の独裁政権をも転覆させる革命が現実となりました。それも始まりから3週間程度と、かなりの拙速な展開です。今や全世界がこの歴史的変革の状況をリアルタイムで目にできる、という世の中です。
民主化の実現は歓迎すべきことですが、このあとどう国づくりをしていくか、しばしの混乱をくぐってこの先どううまくやっていくかが課題になってきました。共通の敵がある時は皆結束していますが、これから個々の利害や権力がぶつかりあってくるのでしょう。
さらにエジプト革命が周辺の中東諸国に伝播し、皆が民主化してメデタシメデタシ・・・ならばいいですが、国際情勢への影響を考えればそうもいっていられないです。不平等なりに長年この前提でやってきたある種の均衡が崩れるのですから。イスラム圏全体の変革になれば、イスラエルの立場はどうなる・・、アメリカの中東戦略力は・・、そうなると原油価格が跳ね上がる・・・?といろいろな波及を考えてしまいます。
ともあれ、今まで考えられなかったような変革が市民のパワーで実現しているのです。
そしてそれは日本のなかでも起こっている。
先日の名古屋市長と愛知県知事の選挙で、河村氏と大村氏が当選。市民の立場に立った無党派が、既存政党候補を大きく引き離しての勝利です。
菅政権には失望、でも自民党政権が良かったのかといえばそれもない。選挙で地元の代表を国会に送り出したって、政党や派閥政治のなかで大して影響力がない。それならば地方政治で、市民の立場での主張を明確に掲げてくれる候補に託そう。財政赤字の現実のなかで10%も減税する公約をしっかりと立てていて、じゃあやらせてみようじゃないか。
永田町が既得権益やらで機能不全、厳しい現状に何も対応していないなか、地方の政治はひとつずつ実績をつくっています。幕末の日本も、薩摩や長州といった地方から維新の狼煙が上がったのです。お江戸やトーキョーに集まる頭脳明晰な秀才ではなく、地方で自分たちの生活の足元をつくっている人たちが自ら立ち上がる。
エコノミスト誌はこの動きを「日本の茶会派(Japan’s tea party)」といっています。アメリカのような派手な動きはないかもしれないけれど、泥臭い草の根のチカラが日本にRevolutionを起こすことを期待したいです。