震災の救援が落ち着いてくると、今度は中・長期での復興です。
都内にいると、放射能も心配するほどの量飛んでこないし、気候もよくなって停電はなくなるし、大災害といっても時間がたてばそれほど深刻になることないじゃないか・・・、と「もと通り」感に落ち着いていく気配のようです。
しかし、問題は全然解決していない。安堵は禁物。
復興後のビジョンはもとの姿ではなく、今までの問題を解決した価値観をベースにした新たな方向のはずです。今回の災害が地震、津波だけだったら被災地だけの問題だったでしょうが、深刻な原発問題は、これまでの人間界のやり方を考え直させる強いメッセージです。
放射性物質を国外に撒き散らしている重大責任を、もっと強く受け止めるべきです。我慢強くて頑張っているといわれていた世界からの日本の評判が、一遍にひっくり返されているのです。国のあそこが悪い、東電のここ悪い・・と言い続けて、これまでの権威の構造を変えていかないといけません。しかし、被害の及ばないところでブツブツいっているだけではダメ、自分のなかで意識を変え直し、ライフスタイルやワークスタイルを変える行動を各自のなかで起こさなければ。
私のことばでいう社会像とは、「自然との共生、地域との共生」です。
これまでも‘サステナビリティ’をずっと言い続けてきましたが、日本語で‘持続可能な社会’といってみてもどうもしっくり馴染んでくれないですね。今回の3・11を通して、日本人にすっと入ってきてそこに具体的なイメージが描けることばとして、これがすうっと頭に浮かんできました。
目指す方向が表現できると、日頃の考えや行動も何をしたらいいかの判断する時の基準になってきます。
今まで都会の中心に事務所を置き、都心の便利さとダイナミズムにエネルギーを感じていたけれど、今や過密都市はいかにも脆くて何か無機的にさえ感じます。節電の徹底で街中が暗くなっているだけじゃない。今まであまりに明るすぎる、便利すぎるとずっと思ってきたので、その点ではむしろ落ち着いてきていいじゃないか、とは思いますが。
都会に一極集中、電車が止まれば家に帰るのも一苦労、という状況って人間的じゃないですよね。地震の時は市ヶ谷の事務所にいて、自宅まで約20kmを歩いて帰りました。ハーフマラソンの距離だし・・ということでそれほど苦労を感じる長さではなかったけれど、「また災害起きたり電車が止まったら、4時間歩いて帰るのか・・」と考えると、これはとてもサステナブルじゃない。
ということで、今事務所の移転を検討中です。西に動こうということではなく、自宅近くにデスクワークの拠点を持ちたいということで。自分の住む地域との共生でもあります。
このほかにも、ウンノの行動範囲で徐々にこの共生構想をカタチにしていきます。それはまた随時。
企業に対して根本からサステナビリティを実践してもらうことは、なかなか動いてもらえない場合が多く歯がゆくもありますが、その方向へシフトせざるを得ない状況を会社は認識するはず。そちらへの手助けも、私のビジョンです。