先日上海に行った知人から、中国でも日本の被災を支援したいという人たちが多くおり、きっかけさえあれば仕事を通じて具体的にやりたいのだが、という問い合わせもたくさんもらった、という話を聞きました。
日本では、毎日を淡々と黙々と過ごして何とか持ち通すという状況が強くなっているので、中国人の積極さにまた刺激されたそうです。
新たな復興ビジョンをうちたて、それに向けて今よりも良くなっていく希望があれば明るくなれるだろうに、と外から見て思うのです。日本に住んでいるワタシだってもちろんそう思います。しかし、それ以上に自分たちの生活が成長軌道の上にある中国は、誰もが「今日よりも明日の生活が良くなる」ことを実感しており、「日本の災害だって、やればできるよ」と前向きに見られるのでしょう。
中国と聞くと、日本ではどこか距離を置きたがるというか、批判的な目で見る傾向がまだあります。ビジネスでどんどん事業開拓している人たちや、そうした活気ある現代中国の雰囲気をそのまま吸収できる若い世代ではなく、年配の方たちには中国がうまくいっていても見るのは問題点ばかりで結局否定的にみる方が多い。過去のいやな歴史経験がそうさせるのでしょうが、こういう人たちの慎重姿勢と、復興後のニッポンのビジョンを打ち出せないまま過ぎていくことと関連あると思いますね。
日本人の我慢強い回復力(resilience)や禁欲的な姿勢(stoicism)は大事ですけど、現状に耐えていくばかりでは先の希望が見出せない。これまでの価値観にこだわらず、今までのやり方で否定すべきところは直し、これまでとは違った将来をつくっていこう、という道筋が示せれば、今の日本でも「今日より明日」に向けて進んでいけるはずです。
「経済成長を第一とする社会を目指してきたけれど、一体私たちは幸せになったのだろうか?
経済や技術もあるけれど、自然と地域を大事にする持続可能な社会の方がいいじゃないか」
こんな思いを持つ人が大半ではないですか?
中国人のエネルギーをいただきながら、経済の規模ばかりでなく人間として繁栄していける社会を「明日」のビジョンにすれば、日本に希望はありますよ。