中国の都市はどこも大きな変化を遂げています。大都市上海と北京はよく報じられており、目を見張る発展が伝わってきます。私は昨年この2都市ではなく、工場集積地の中心都市である深センを何度か訪問しました。
深センは、香港からすぐ国境を越えた中国内につくられた工業都市です。もとは何もなかったところに10年くらい前から中国政府の計画で外資を奨励して工場をどんどん誘致したので、今は人口1,000万人以上まで発展しています。深セン特別区にはたくさんの高層ビルが立ち並び、今や大都市です。漠然と、工業地帯なので都市街はほんの中心部だけだろうと思っていたところ、初めて訪れた時は都市の高層発展度に驚きました。中心街を出ると今度は高層マンションがかなり広い範囲に建築され、そしてやっとその周辺に工場地帯が位置するといった状況で、点や線でなく「面」で開発が進んでいます。
香港と深センをつなぐ入出力審査は4箇所。2007年7月には街の西側位置に両都市を結ぶ大きな橋が建設され、入国にかかる事務手続きも大分短時間化されてきたとのことで、私もこの新越境ルートを通りました。大型トラックがガンガン通っていきます。
深センの街でも、道路や地下鉄の工事があちこちで行われています。新たに線路をつくるとなるとその周辺の住宅や建物は一斉に取り壊され、ダーっと橋げたやらがつくられるのです。かなりの勢いでつくっているのがわかります。
マンションの建築もすごいです。地震がないので、太い鉄骨で骨格を作るなんてことはせず1階から順番に壁を作り上げていきあっという間に建物の形になっていくそうです。高層のビルでも外壁の仕上げには竹製の足場を組んでおり、格子のようにビルを囲っているところが中国の特徴。崩れないのか、強度は大丈夫なのか、と他人事ながら心配です。
工場地帯に入ると、途中に4万人規模の自動車工場を通っていきました。周りを歩いている人たちは青いワークシャツを着た20歳前後の若者だけという、ちょっと異様な風景です。4万人という数字に驚いていたら、台湾の電子業専門の工場の規模はそんなものでなく、何と20万人まで拡大しているとのこと。ローカルの工場を次々買収して急拡張、工場の域を超えもうひとつの街です。
深センを含む広州、珠海にまたがる華南地区の開発はまだまだ進む計画です。経済発展が人々の生活レベルと高める一方で、人類は一体どこまで行けば気がすむのか考えてしまいます。