創ゾウ人~世界を視る、地球で感じる~

ヒラリー・クリントン「女だから・・・」?

2008年06月30日

アメリカ大統領の予備選挙・クリントン氏の撤退会見で、いまだに女性への偏見がありガラスの天井が破れなかったことを彼女は表明していました。今回の予備選は女性か黒人かという決戦でしたから、もしオバマ氏が負けていたら「ボクは黒人だったから・・・」といったのでしょう。どちらにしても今までのアメリカの常識でないポジションなのです。それくらい国民が変化を求めているということです。

でも本当に、「女性だから不利」だったのでしょうか。彼女は男女にかかわらず実力がある人だったから候補になったのではないですか?一方で女性であることをフルに活用しつつ、男社会に実力で挑んでいたはずです。ビル・クリントンの支持基盤を十分に活用できたのも、元大統領夫人という女性の立場だったからではないですか?何故最後に女性であることを言わなければならなかったのか、ちょっと残念です。

私の世代の女性は、あまり肩肘はらずにやるべきことをやっていくなかでその力を認められてポジションを得ていくという、当然の気持ちで取り組んでいます。認めてもらえないなら―例えば典型的な日本企業で昇進が難しいとなれば―自分の納得できる仕事を求めてチャレンジすることで、自分を磨くのです。

私はといえば、自分が女性であることに鈍感なため、満足いく仕事ができないとしてもそれが女性であるが故と思うことはあまりありませんでした。知名度がないから、持ちかけた相手がミスマッチだったから、個人戦にこだわりすぎるから、といった具合です。あまりに女性を意識しなかったために、かえって女性としてうまく使えるチャンスを見過ごしていたかもしれない、などと思ったりするくらいです。

ヒラリー・クリントンの撤退表明を聞いていて、もう一人トップに登りつめたアメリカ女性を思い出しました。元HPの会長&CEOのカーリー・フィオリーナ氏です。彼女はCEOとしてHPの建て直しに真剣に取り組んでいたものの、周囲のメディアが何かと目立つ彼女を過剰に取り上げ、勝手に女性CEO像がつくられていたようです。

HPのCEOということで注目されるだけでなく、チャーミングで優しそうな女性である彼女の風貌が、マスコミの標的にされやすかったのでしょう。単なる風評だ、と思いたくてもそれが株主や経営陣の判断にも影響し、本当に勝負すべき場と違うところで余計な神経を使わなければならなかった。しかし彼女はCEOを解任されたあとも、女性だったからなどとは口にしていません。何も関係ないから。

このように見ていると、メディアの責任は本当に大きいと思います。クリントン氏も、強く出ればそれを指摘され、涙を流せば軟弱だと叩かれる。何をしても、必ず批判がつきまとってくるのです。そもそも予備選挙はメディアの恰好のイベントにされていて、長期間のお祭り騒ぎの後の人気投票のようなもの。中身よりも、いかに世論、国民の感情的な支持を得るかが関心になっていると思います。

そんなアメリカの事情を観察する一方で、日本でも女性の首相候補、日本を代表する企業の社長が現れるのは何時のことだろう、と思い巡らしておりました。今のニッポンの閉塞感を破るには、女性の力をもっと吸い上げることがひとつではないでしょうか。

海野みづえ プロフィール

2020年4月より山梨県北杜市に在住。
それまでは企業向けのサステナビリティ経営アドバイザリーを展開。23年間経済と社会の接点の分野をビジネスの立場から取り組んできた。
この間自身の価値観を根本から転換していく意識が湧き上がり、生き方を変革(Transform)することが、サステナビリティの基本と感じる。

現在は自然と接する中で人間らしいライフスタイルを実践し、社会全体をホリスティックにとらえる眼をつちかっている。

創コンサルティング
https://www.sotech.co.jp/

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