SATP細胞の論文問題で、盗用、捏造、改ざん・・・への注意喚起が徹底されています。
科学の世界に限らず、一般社会でも守らなければいけない、というか当然のこと。うっかり、ミスで・・と言い訳しようが、それはいけないことなのですから。それくらい、今の世の中この手の行為がよく起こっているということです。
インターネットの普及で、情報が簡単に取れることがひとつでしょう。デジタル情報なので、容易にコピーできて、加工もプロっぽくできてしまう。自分のパソコンからいとも簡単に世界中の情報にアクセスできることに慣れてしまうと、コピーすることに不正意識がなくなるのでしょう。今の若い人たちは、研究を始めた時点からデジタル化が当たり前になっているから、文献調査というと書物を1ページずつめくって調べつく、という行為はまどろっこしいでしょうね。
誰でもまっさらなところから研究が進むわけではないので、必ず既存の文献を参照する。そうしていくうちに自分独自の考えが生まれ、オリジナルを組み立てるわけですが、そこの境目がわからなくなってしまうのかもしれない。
自然科学の研究だけでなく、社会科学の分野や一般の著作についてだって同じです。こちらの方は論証が社会現象だったりするので、「証明」がなかなか難しくてどこまでがオリジナルかがわかりにくい。著作についても、流用、盗用すべきでないことをこの機会に徹底したいです。
CSRの分野でも、海外で広がっている枠組みやロジックを断りなしに自分の考えのように使い、それでちゃっかり商売に使っているケースをよく見てきました。この方たちは、「一般に公開された」ものであれば、自分の都合で自由に使って構わないと思っているらしい。私のものも、少し手直ししたチャートに変えてもっともらしく使われていること、よくありました。
研究者ではないので、一人で考えを温めていても世の人々が認めて取り上げてくれなければ意味がないのです。独立の立場でやっていると、アイデアを使われたとなじるよりも、使ってもらうことで認知が広がった、と寛大なココロをもつことも大事で。
今回の騒動で、このことが確認されていることは、私にとっても好都合です。今度そんな状況を発見したら、「盗用は不正ですよ」と主張しますよ。