大学院での講師はもう何年もやっていますが、今年度から新たなチャレンジとして留学生向けに英語で行う講座を始めました。東大大学院のなかに新たに設けられた「サステイナビリティ学プログラム」の1講座です
1人で全部をとなると大変ですから、4人が3回ずつ担当するという構成。UNEPFIの末吉さん、三菱UFJ信託銀行の加藤さん、レスポンスアビリティの足立さんのご協力で成立、金融界と産業界それぞれの実務に関わる講師が解説するという”Business and finance for sustainable development”です。
もともと柏キャンパスの新領域創成科学研究科は、院生だけで1学年に300人くらいいる大規模大学院です。そのなかにいた留学生も受講しているので、登録で60人くらいの大きな講座になりました。英語×実務家という講座が少ないため、評判がよかったようです。
社会人経験のない受講生ですから、ビジネスの基本みたいなものも盛り込まないといけません。まして今回は様々な国から留学しているので、日本の視点よりも国際的な切り口にしたいものです。
そこで、事例紹介では欧米企業をふんだんに盛り込みました。そもそもは英語での資料作りを省きたかっただけでしたが、ちょうどサステナビリティ報告の海外動向を知るきっかけにも。先進企業のウェブをいくつか調べていくと、内容だけでなく報告の仕方に学ぶことが多くあることを発見。かなり進化しています。日本企業の皆さんも、国内での比較だけでなく海外のサイトをみてヒントを得てもらいたいものです。
留学生の皆さんは、奨学金や政府の推薦で来ている人たちが多く、学習意欲が強いです。バングラデシュの留学生がいたので、ちょうどテーマにあげたマイクロファイナンスのところで説明を指示。グラミン銀行のユヌス氏はこの国ではヒーローで、大変誇らしげに写真を映し出してずっと話していました。日本の学生に はこういうエネルギーがちょっと足りなくて残念だな、と思っていたところ、あとから途上国でのマイクロビジネスへの強い関心を話してくれました。これは若者に希望をもたらすビジネスモデルだと思いますね。
質問のなかには、「CSRのコンサルティングって一体どんなことやっているんですか」というものもあり、説明すると「ふ〜んそんな仕事ってあるんだ」という反応でした。これをあとから東大の担当の先生に言ったところ、「ボクも、海野さんどういうことやってるのかってすごく思ってましたよ。」そうね、ちょっとわかりにくいだろうな。