農業法人でのCSRシンポジウムに行ってきました。農業経営でもCSRをきちんと意識しようということで、そのガイドラインを策定しているところです。
農業関連で考えられるのは、まず食の安全。ラベルの偽装など、食品に関わる様々な不正がいくつも続いたので、食品業界への信頼がぐっと悪くなっています。 今回の集まりは実際の生産を担う方たちですから、食品サプライ・チェーンのさらに上流。世間からは、市場に出回る食品から原料の産地をトレースしていって 「キミたち、ちゃんとやっているのかね」という目で見られます。
シンポジウムでは、先進的な法人の事例がいくつか紹介されました。法人といっても個人経営が発展したものなので、一般の会社からみれば小規模です。どこも皆各人の創意工夫や生産への意欲が伝わってくるものばかり。
まったく農薬を使わずに米を有機栽培している新潟県の法人は、同じく米栽培に携わっている方でも驚きのものでした。100%有機の秘密は??というと、自 分たちで開発した除草機なんですね。といっても最新鋭の機械といったものではなくて、いろいろな部品を集めて使って試しながらの努力の賜物。特許出願も済 ませ、これから全国に広げていく意向だそうです。
また、長野県で高原野菜に携わる法人は、大規模農業経営を成功させるだけでなく、若手人材を受け入れ、彼らに農業のノウハウを教え込むという経営者育成に 力を入れています。経験によるカンではなく、きちんとシステム化し、彼らが独立していけるような仕組みにしているのです。
いいことばかりではありません。近所の住民から、農薬を使うことや埃がたつということで迷惑がられるという現実的なお話も出てきました。企業にとってのス テークホルダー配慮と同じと思って聞いていると、この方「だから農業でもCSRといった考えをしっかり持たないといけない」とおっしゃり、大変説得力あり ました。
農業は生態系や自然環境の保全の役割をもちますし、今後の雇用創出の機会にもなります。これからは「持続可能な農業」がキーワードです。