創ゾウ人~世界を視る、地球で感じる~

沸騰都市ダッカ

2009年04月6日

混沌として秩序がないのに(それだから?)底から突き上げてくるようなエネルギーと活気にあふれている、ダッカはそんな感じの都市でした。

先週バングラデシュに行ってきました。

グラミン銀行のユヌス氏を紹介する記事を最近よく見かけるようになりました。2006年にノーベル平和賞を受賞し、その後途上国ではマイクロファイナンス(MF)が拡大、定着していますが、2年遅れでようやく日本でも話題に上るようになったと感じます。「前から知っている」だけでは耳学問なので、ともかく発祥の国バングラデシュに行きを練っていたものの、一人ではどうにも難しい国。そんな時にアライアンス・フォーラム財団の企画ツアーを知り、渡りに船と飛び乗ったのです。

この財団はバングラデシュ最大のNGOであるBRACと友好関係を築いています。BRACは貧困のひどい農村の互助組織ですが、日本の私たちが想像する草の根的素人NGOなどではありません。どのくらいすごいプロ集団かというと、ここが運営する銀行BRAC BANKの専門度からもわかるでしょう。まず空港に着くと、入国審査のカウンターはBRAC BANKのロゴと看板で覆われています。

IMG_0032_01街のあちこちでも見かけるのはまずこの銀行で、一般の国際的商業銀行は非常に少ないです。

市中に入ると、道路の主役はリキシャ(三輪自転車のタクシー)とミニタクシー(緑の三輪車)。信号があっても混雑時は混乱するのであまり動いておらず、おまわりさんが手信号で交通整理しています。
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IMG_0032_04途上国の都心部はどこでもそうですが、車は先を争って少しでも前にせり出そうとします。自分の車なら大事に乗ろうと思うでしょうが、公共のバスはご覧の通りどれも側面がボコボコでガリガリ。

今回の期待は、ダッカ北部の農村への日帰りツアーでした。まずはマイクロファイナンスの集会現場へ。こんなふうに村の女性が週1回グループになって地べたに座り、そこをBRACの担当者が訪れます。最初に皆立ってMFの10原則を唱和したあと、それぞれの帳簿(手に持っているピンクの冊子)と返済金を担当者に渡して確認していきます。単なるお金の貸し借りではなく、この集会で情報交換やアドバイスをしあうことが大事なんですね。そして衛生や医療の指導の機会にもなります。

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これはBRAC小学校。政府の施策が農村まで行き届かず、BRACが自ら運営しているのです。政府にとっても、地域の住民にとってもNGOは必須の存在です。このクラスは5年生で、皆とても生き生きと授業を受けていました。学べるということがホントに嬉しい、という気持ち、今の日本ではなくなってしまい残念です。

世界規模での不況の影響を受けていないわけではありません。しかし、もともと最貧層にあった国ですから、国内が少しずつ豊かになっていく動きがまだ強く、少しでもチャンスを得ようという意欲が街を動かしています。一部の都市住民だけが金儲けで豊かになるのではなく、農村の生活を改善しボトムを上げることが国を豊かにする、という強い意志をもって行動しているNGOの存在から学ぶことは多いです。

海野みづえ プロフィール

2020年4月より山梨県北杜市に在住。
それまでは企業向けのサステナビリティ経営アドバイザリーを展開。23年間経済と社会の接点の分野をビジネスの立場から取り組んできた。
この間自身の価値観を根本から転換していく意識が湧き上がり、生き方を変革(Transform)することが、サステナビリティの基本と感じる。

現在は自然と接する中で人間らしいライフスタイルを実践し、社会全体をホリスティックにとらえる眼をつちかっている。

創コンサルティング
https://www.sotech.co.jp/

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